印は信義を明らかにする-書・刻・雑言<14>

2015年2月23日

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印は「信」を表すものである。印章、また信璽と呼び、信義を明らかにし、信頼を得んと願うものである。「篆刻三法」という。印を刻す時に大切な三本の柱である。一に学法。正確な字を使用すること。二に章法。正しく配置、デザインしなさい。三に刻法。繊細にかつ大胆に、刃をもって字画、空間に生命を与えること。

これらの要件をほぼすべて欠き、否定し、それでいて通用している印がある。わが日本国政府、役所、自治体の印である。保険証、パスポート、年金領収通知書、等々。正確な篆書ではない、篆書めかした誤字、作字が、縦書きでなく横組みに並び、無表情な線に命はない。「社会保険庁長官之印」、信は得られない。

◇信義=まこと正しさ
◇書=篆書。きびしく、ひきしめて。
◇印=「鐫石表心」。石に掘りて心を表す。造象記より。

フジサンケイビジネスアイ2008年02月26日