子の名に願いを込めて-書・刻・雑言<15>

2015年2月25日

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北海道日本ハムファイターズの大物ルーキー・中田翔君が注目されている。

この「翔」の文字が子供(男子)の名前に多く使われはじめて18年以上がたつ。羽を広げて鳳の如く大空を行く、華やかで外交的なその命名。ただ私にはちょっと気恥ずかしい印象があった。

対照的なのは「悠」だろうか。

”はるか” ”おもう”とも訓ずるその字は、内向的だがゆったりとのどかな心の自由を表す。

子供の名前には、親の願いが結晶している。その背景には確かに時代が流れていた。

悠、悠然とくれば陶淵明の連作詩の中にある名句「悠然として南山を見る」であろう。

◇翔=ゆったりと飛ぶ
◇書=「翔」草書、強く大きく
◇印=「悠然見南山」。陶淵明「飲酒」其五より

フジサンケイビジネスアイ2008年03月11日