辞書を引き大海を楽しむ-書・刻・雑言<35>

2015年4月4日

35_sankei_20080812

盛夏。静かな磯の潮溜まり。肩を背を陽に焼きながら小蟹を追い小魚を掬った。顔を上げ腰を伸ばし、磯の香を胸に大海を仰いだ。

言葉の海へ、文字の大海へ雄々しく出帆した人々。潮流を羅針を睨む。網を整え銛を研ぐ。言語文字の真理を攫み万人に示した大航海の記録が辞書、字典だ。

薔薇と書く優越、ハネトメへの拘泥、同音異義語の狡猾な設問等は”磯遊び”。日本人の誇る言語の大海に進み、引き、楽しもう。

◇大海を引く=唐、太宗 「聖教序」より
◇書=「集王聖教序」に倣う
◇印=「大海の法流を引く」同出典

フジサンケイビジネスアイ2008年8月12日