土中の重責、軽快を支える-書・刻・雑言<30>

2015年3月25日

30_sankei_20080701

竹林に根切った溝の中で竹根に見惚れる。

小指の太さで走る根は次第に先細るかと目を移すと、なんと次第に太くなる。足の親指ほどに柔らかく膨れ白く光り、1㍍余も続く。表面はまだ枝の根がなく滑らかなので、抽くとズルリと抜ける。一匹の白蛇かと見紛う。美しい。竹の核心部。岩を避け、水を嗅ぐ探知機。最先端の鋭敏な決断者だ。土中の重責が若竹の軽快な繁茂を支える。

「社長さん」とはこの白蛇か?……土に座す。

◇「根、深くして 葉、茂る」「韓非子」「老子」ほか
◇書=隷書 力強く、伸伸と
◇印=「重は軽の根たり」老子 第26章より
フジサンケイビジネスアイ2008年07月01日