憂いを忘れ まず一献-書・刻・雑言<21>

2015年3月7日

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「不安定なのさ、つま先立ちや大股じゃあね」と老子の語を引いて”騒乱”の続く中国を憂いた。ふと、個人に立ち返って考える。誰も自ら好んで無理を貫き背伸びをして生きようとは思わない。後々になって「あの頃は焦っていたなあ」「あの判断はあれでよかったか…」と苦く思い起こす。蹉跌はまた続く。憂いを忘れる酒に秋菊び英を浮かべて、騒乱の「世を遺れよう」と嘆いたのは老子を好んだ陶淵明であった。

◇跂者不立=跨者不行 老子第24章
◇書=対句を一体化
◇印=忘憂遺世(憂いを忘れ世を遺る) 陶淵明 飲酒其七

フジサンケイビジネスアイ2008年04月29日