子歳に母と子の安寧願う-書・刻・雑言<9>

2015年2月13日

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年頭、何かおめでたいものをと思う。「瓦當(当)」は屋根の軒先に葺く丸瓦の先端部分。その円形または半円形の中に文字を配したものを「瓦當文」と呼ぶ。中国漢代の瓦當文には、その家の長久と富貴を願う吉祥の語が多い(長楽万歳、延年益寿など)。

さて、今年は子歳。十干の「戊」と組み合わせると「戊子」の年。同音の「母子」に掛けている。穏健と平和を思い、「安寧」と続けて「母子安寧」。どんなに忙しくても、家族が健康で安らかなら、明日の仕事に向かえるだろう。子歳に生まれてくる子も産む母も安寧でありますように。

本年も拙作、拙文、御過眼のほど、よろしくお願い申し上げます。

◇母子安寧=母と子、また家族が穏やかで平和なこと。干支の戊子に掛けた造語
◇書と印=漢の瓦當文に倣う。羊頭状の吉祥文を配して石膏板に刻字し、拓本に採った。印の「戊子大吉」は、戊子の今年が大いによい年でありますように。青銅器に鋳込まれた金文に倣い、象形性を強調した陰刻白文。

フジサンケイビジネスアイ2008年1月08日